いわて思春期研究会

2018年07月26日

2018年度いわて思春期研究会特別講演会「思春期のSNS利用と性被害」

いわて思春期研究会の2018年度特別講演会「思春期のSNS利用と性被害-情報モラル教育だけでは防げない思春期のインターネットトラブル」は7月14日、盛岡市菜園の県医師会館で開かれました。宮崎豊久氏(日本思春期学会幹事、インターネットポリシースペシャリスト)を講師に、ネットいじめ、裸の写真を提供してしまう(Sexting)など会員制交流サイト(SNS)をめぐるトラブルに対処する上で、ハイリスクアプローチに加えて、ポピュレーションアプローチに力を入れることで、「質のいいつながり」をつくっていくことの大切さを学びました。

教育、医療看護関係者ら31人が参加。宮崎氏は講演で、近年はネットトラブル防止に向け、フィルタリングの普及活動、情報モラル教育などが盛んに行われるようになってきましたが、これらはトラブルの早期発見・早期対応の取り組みにとどまることが多く、根本的解決には結びつかないと指摘しました。

問題の根底にあるのが、社会に蔓延するコミュニケーション不足、児童の居場所(心のよりどころ、安心できる場所)の不足です。小学生でもスマホを持っている時代になりましたが、ネットは社会性を身につけないうちでもコミュニケーションができてしまう(できている気になれる)という怖さがあります。居場所がないと感じている人同士がネットをきっかけに出会い、リアルなコミュニケーションに発展した場合、トラブルが起きてしまいかねません。

他人との接触をできる限り避ける「内向的な社会性」ではなく、誰かを過度に非難したり攻撃したりする「外交的な社会性」でもなく、意見の違いを認め合う「双方向の社会性」を身につけるには、どうしたらいいか。宮崎氏は、数々の事例を交えつつ、子どもの居場所づくりや、コミュニケーション力の育成に力を入れる必要性を強調しました。

講演後は、参加者が小グループに分かれ、先生と生徒同士のSNS利用をめぐる事例を基にディスカッション。アンケートでは「情報モラルの取り組みをいくらやってもトラブルは毎年起こり、この先どうしたら良いのか考えていたところにぴったりのテーマで、とても勉強になりました」「『人生を幸せにするのはつながり』という言葉が胸に残った」「もっと学校でこういう講演がされればいいのに」などの感想や意見が寄せられました。

また、参加者アンケートの結果もこちらに掲載しました。ご回答頂きました皆様、ありがとうございます。今後の運営に生かしていきます。

 

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